OBDプロトコル選択
OBD-II には複数の通信プロトコル(ISO規格)があり、車種・年式・地域によって採用されているものが異なります。OBD-NINJA は標準では自動検出(Auto)で接続しますが、自動検出が失敗する車両向けに手動でプロトコルを選択できる機能を提供しています。
1.概要
OBD-II 規格は 1996 年に米国で義務化されて以来、世界中の車両に採用されてきましたが、その下層の通信プロトコルは時代と地域によって複数の規格が並立してきました。CAN バス(ISO 15765)が主流になる前は、ISO 9141-2、KWP2000(ISO 14230)、米国系の SAE J1850 PWM/VPW など、メーカーや地域ごとに異なる方式が使われていました。
OBD-NINJA は ELM327 アダプターの `ATSP0`(自動検出)コマンドで起動時に最適なプロトコルを判定しますが、古い車両や並行輸入車では自動検出が失敗することがあります。そのような場合に備えて、10 種類のプロトコルから手動で選択できる機能を提供しています。
どんな時に使う? — 接続時に「SEARCHING…」のままタイムアウトする、繋がったり切れたりを繰り返す、古い欧州車や並行輸入車でうまく動かない、といった場合は手動指定で改善することがあります。
2.プロトコル一覧
OBD-NINJA で選択できるプロトコルは以下の 10 種類です(ELM327 の ATSPx コマンドに対応)。
| プロトコル | コマンド | 主な対象車両 |
|---|---|---|
| Auto Detect | ATSP0 | 全車(推奨/既定) |
| CAN 11bit / 500kbps | ATSP6 | 2008年以降の乗用車の大多数(最頻) |
| CAN 29bit / 500kbps | ATSP7 | 一部の現代車・拡張ID使用車 |
| CAN 11bit / 250kbps | ATSP8 | 一部の特殊車両 |
| CAN 29bit / 250kbps | ATSP9 | 商用車・ピックアップトラック等 |
| KWP2000 Fast | ATSP5 | 2003〜2007年頃の欧州車(ISO 14230 Fast Init) |
| KWP2000 Slow | ATSP4 | 2000〜2006年頃の欧州車(5-baud Init) |
| ISO 9141-2 | ATSP3 | 旧欧州車・90年代後半〜2000年代前半のアジア車 |
| J1850 PWM | ATSP1 | 旧 Ford(米国車・1996〜2003年頃) |
| J1850 VPW | ATSP2 | 旧 GM・旧 Chrysler(米国車・1996〜2003年頃) |
上記は目安です。同じメーカー・同じ車種でも年式・仕向地(販売地域)によってプロトコルが変わるため、確証がない場合はまず Auto を試してください。
3.設定方法
設定画面から選択
- 1. 設定画面を開く
- 2. 「OBD Protocol」をタップ
- 3. リストから車両のプロトコルを選択
- 4. 次回接続から指定したプロトコルが使われます
ヒント: 設定変更後は Bluetooth 接続を一度切って繋ぎ直してください。実行中のセッションには反映されません。
接続失敗時のリカバリ導線
接続が失敗した場合、自動的にダイアログが表示されます。「手動でプロトコルを選択しますか?」で OK をタップすると、そのままプロトコル選択画面に遷移します。
4.「自分の車はどれ?」ガイド
確証がない場合は Auto から試してください。下表は車両の年式・地域からの推測の目安です。
年式ベースのざっくり判定
| 年式 | 第一候補 | 第二候補 |
|---|---|---|
| 2008年〜現在 | CAN 11bit / 500kbps | Auto |
| 2003〜2007年(欧州) | KWP2000 Fast | KWP2000 Slow |
| 2000〜2007年(欧州・アジア) | ISO 9141-2 | KWP2000 Slow |
| 1996〜2003年(米国 Ford 系) | J1850 PWM | Auto |
| 1996〜2003年(米国 GM / Chrysler 系) | J1850 VPW | Auto |
地域・メーカー別の傾向
| 地域・メーカー | 傾向 |
|---|---|
| 日本車(2008年以降) | ほぼ CAN 11bit / 500 |
| 旧 VW / Audi / Skoda(〜2007) | KWP2000 Fast または ISO 9141-2 |
| 旧 Opel / 旧 Saab | KWP2000 Slow が多い |
| 旧 Lada / Dacia | ISO 9141-2 |
| 旧 Ford(米) | J1850 PWM |
| 旧 GM・旧 Chrysler(米) | J1850 VPW |
| 欧州車・アジア車(2008年以降) | CAN 11bit / 500 → だめなら 29bit |
| 商用車(ピックアップ・トラック) | CAN 29bit / 250 を試す価値あり |
並行輸入車の注意 — 同じ車種でも仕向地でプロトコルが異なる場合があります。例えば北米向けと欧州向けで通信方式が違うケースがあるため、輸入車では仕向地の傾向で判断する方が当たりやすいです。
5.トラブルシューティング
つながらない時の試行順
- 1. まず Auto — 接続できるか確認
- 2. CAN 11bit / 500 — 2008年以降ならこれが本命
- 3. CAN 29bit / 500 — 11bit でだめなら 29bit
- 4. 車の年式・地域に該当しそうなものを表から
- 5. それでもだめなら ELM327 アダプター自体やケーブルを疑う
ヒント: プロトコルを変えたら毎回再接続してください(Bluetooth を一度切って繋ぎ直す)。設定変更だけでは反映されません。
6.よくある質問
Auto で繋がっているけど、明示的にプロトコルを指定した方が速い?
接続初期化が若干早くなる場合があります。Auto は内部で順番にプロトコルを試行するため、特定済みなら指定する方が初回接続は速くなる傾向があります。
設定したプロトコルが車に合わない場合どうなる?
接続が失敗し、フォールバックダイアログが表示されます。そこから別のプロトコルを選び直せます。
ELM327 アダプターによって対応プロトコルが違うと聞きました
その通りです。安価なクローン製品の中には CAN 系のみ対応で旧プロトコル(J1850 等)に対応していないものがあります。古い車を使う場合は、対応プロトコルが明記されているアダプターを選んでください。
一度手動指定したら Auto に戻せる?
戻せます。同じ画面の「Auto Detect」を選び直してください。
プロトコルを切り替えても変わった気がしない
Bluetooth 接続を一度切断してから再接続してください。プロトコル指定は接続時の初期化シーケンス(ATSPx)で適用されるため、既存接続には反映されません。
OBD NINJA をダウンロード
iOS / Android で無料でお試しいただけます。