Features

OBDプロトコル選択

OBD-II には複数の通信プロトコル(ISO規格)があり、車種・年式・地域によって採用されているものが異なります。OBD-NINJA は標準では自動検出(Auto)で接続しますが、自動検出が失敗する車両向けに手動でプロトコルを選択できる機能を提供しています。

公開 · 2026年5月9日·最終更新 · 2026年8月19日

1.概要

OBD-II 規格は 1996 年に米国で義務化されて以来、世界中の車両に採用されてきましたが、その下層の通信プロトコルは時代と地域によって複数の規格が並立してきました。CAN バス(ISO 15765)が主流になる前は、ISO 9141-2、KWP2000(ISO 14230)、米国系の SAE J1850 PWM/VPW など、メーカーや地域ごとに異なる方式が使われていました。

OBD-NINJA は ELM327 アダプターの `ATSP0`(自動検出)コマンドで起動時に最適なプロトコルを判定しますが、古い車両や並行輸入車では自動検出が失敗することがあります。そのような場合に備えて、10 種類のプロトコルと 1 つの専用プリセット(計 11 種類)から手動で選択できる機能を提供しています。

どんな時に使う? — 接続時に「SEARCHING…」のままタイムアウトする、繋がったり切れたりを繰り返す、古い欧州車や並行輸入車でうまく動かない、といった場合は手動指定で改善することがあります。

2.プロトコル一覧

OBD-NINJA で選択できるのは以下の 11 種類です(10 種類のプロトコルと、トヨタ車向けの専用プリセット 1 つ。ELM327 の ATSPx コマンドに対応)。

プロトコルコマンド主な対象車両
Auto DetectATSP0全車(推奨/既定)
TOYOTA CANATSP6 + 物理アドレス指定2000年代中盤〜2010年代前半のトヨタ・レクサス車
CAN 11bit / 500kbpsATSP62008年以降の乗用車の大多数(最頻)
CAN 29bit / 500kbpsATSP7一部の現代車・拡張ID使用車
CAN 11bit / 250kbpsATSP8一部の特殊車両
CAN 29bit / 250kbpsATSP9商用車・ピックアップトラック等
KWP2000 FastATSP52003〜2007年頃の欧州車(ISO 14230 Fast Init)
KWP2000 SlowATSP42000〜2006年頃の欧州車(5-baud Init)
ISO 9141-2ATSP3旧欧州車・90年代後半〜2000年代前半のアジア車
J1850 PWMATSP1旧 Ford(米国車・1996〜2003年頃)
J1850 VPWATSP2旧 GM・旧 Chrysler(米国車・1996〜2003年頃)

上記は目安です。同じメーカー・同じ車種でも年式・仕向地(販売地域)によってプロトコルが変わるため、確証がない場合はまず Auto を試してください。

3.TOYOTA CAN モードについて

2000年代中盤〜2010年代前半のトヨタ・レクサス車の一部(ハイエース、ランドクルーザーなどこの年代の車種)は、標準の OBD-II 通信(CAN)を搭載していながら、自動検出が行う「全ECUへの一斉問い合わせ」に応答しない場合があります。このため、アダプターは正常でも「接続できない」という症状になります。

TOYOTA CAN モードは、通信方式そのものは標準の CAN(11bit / 500kbps)のまま、エンジンECUのアドレスを指定して直接問い合わせを行う接続モードです。一斉問い合わせに応答しない車両でも、この方式で接続できる可能性があります。特別なアダプターは不要で、通常の ELM327 互換品(BLE対応)のまま利用できます。

設定方法: 設定 →「OBDプロトコル」→「TOYOTA CAN(トヨタ・レクサス旧車)」を選択して接続してください。なお、同じ車種でも年式・グレードにより自動検出で接続できる場合もあります。まず自動検出を試し、失敗する場合に TOYOTA CAN をお試しください。

どちらの方式でも接続できない場合は、接続失敗時に表示される「接続ログを送信」から診断ログをお送りください。お送りいただいた記録は対応車種の拡大に活用させていただきます。

4.設定方法

設定画面から選択

  • 1. 設定画面を開く
  • 2. 「OBD Protocol」をタップ
  • 3. リストから車両のプロトコルを選択
  • 4. 次回接続から指定したプロトコルが使われます

ヒント: 設定変更後は Bluetooth 接続を一度切って繋ぎ直してください。実行中のセッションには反映されません。

接続失敗時のリカバリ導線

接続が失敗した場合、自動的にダイアログが表示され、「プロトコルを選択」からそのまま選択画面に進めます。アプリバージョン 1.3.1 以降では、アダプターの応答内容から「次に試す価値のあるプロトコル」を判定してダイアログに表示し、選択画面でも候補を「(推奨)」マーク付きで上位に並べます。また、手動選択で失敗した後もいつでも Auto Detect(自動検出)に戻れます。

5.「自分の車はどれ?」ガイド

確証がない場合は Auto から試してください。下表は車両の年式・地域からの推測の目安です。

年式ベースのざっくり判定

年式第一候補第二候補
2008年〜現在CAN 11bit / 500kbpsAuto
2003〜2007年(欧州)KWP2000 FastKWP2000 Slow
2000〜2007年(欧州・アジア)ISO 9141-2KWP2000 Slow
1996〜2003年(米国 Ford 系)J1850 PWMAuto
1996〜2003年(米国 GM / Chrysler 系)J1850 VPWAuto

地域・メーカー別の傾向

地域・メーカー傾向
日本車(2008年以降)ほぼ CAN 11bit / 500
旧 VW / Audi / Skoda(〜2007)KWP2000 Fast または ISO 9141-2
旧 Opel / 旧 SaabKWP2000 Slow が多い
旧 Lada / DaciaISO 9141-2
旧 Ford(米)J1850 PWM
旧 GM・旧 Chrysler(米)J1850 VPW
欧州車・アジア車(2008年以降)CAN 11bit / 500 → だめなら 29bit
商用車(ピックアップ・トラック)CAN 29bit / 250 を試す価値あり

並行輸入車の注意 — 同じ車種でも仕向地でプロトコルが異なる場合があります。例えば北米向けと欧州向けで通信方式が違うケースがあるため、輸入車では仕向地の傾向で判断する方が当たりやすいです。

6.トラブルシューティング

つながらない時の試行順

  • 0. 接続先の機器名を確認 — 「OBDII」「ELM327」「Vgate」など、お使いのアダプターの名前になっていますか? 周囲のスマート照明・イヤホンなど無関係な Bluetooth 機器を選んでいると、どのプロトコルを選んでも接続できません
  • 1. まず Auto — 接続できるか確認
  • 2. CAN 11bit / 500 — 2008年以降ならこれが本命
  • 3. CAN 29bit / 500 — 11bit でだめなら 29bit
  • 4. 車の年式・地域に該当しそうなものを表から
  • 5. それでもだめなら ELM327 アダプター自体やケーブルを疑う

ヒント: プロトコルを変えたら毎回再接続してください(Bluetooth を一度切って繋ぎ直す)。設定変更だけでは反映されません。アプリバージョン 1.3.1 以降では、失敗ダイアログに推奨プロトコルが表示されるので、その候補から順に試すのが近道です。

7.よくある質問

Auto で繋がっているけど、明示的にプロトコルを指定した方が速い?

接続初期化が若干早くなる場合があります。Auto は内部で順番にプロトコルを試行するため、特定済みなら指定する方が初回接続は速くなる傾向があります。

設定したプロトコルが車に合わない場合どうなる?

接続が失敗し、フォールバックダイアログが表示されます。そこから別のプロトコルを選び直せます。アプリバージョン 1.3.1 以降では、アダプターの応答から次に試すべき候補を提案し、Auto Detect にもいつでも戻れます。

ELM327 アダプターによって対応プロトコルが違うと聞きました

その通りです。安価なクローン製品の中には CAN 系のみ対応で旧プロトコル(J1850 等)に対応していないものがあります。古い車を使う場合は、対応プロトコルが明記されているアダプターを選んでください。

一度手動指定したら Auto に戻せる?

戻せます。同じ画面の「Auto Detect」を選び直してください。

プロトコルを切り替えても変わった気がしない

Bluetooth 接続を一度切断してから再接続してください。プロトコル指定は接続時の初期化シーケンス(ATSPx)で適用されるため、既存接続には反映されません。

TOYOTA CAN を選んでも接続できません

接続失敗時のダイアログから「接続ログを送信」でログをお送りください。通信記録を確認し、対応を検討します。年代の古い車両では K-Line 系など CAN 以外の方式の場合もあります。

どのプロトコルを試しても接続できません

まず接続先の Bluetooth 機器がアダプター本体であることをご確認ください(トラブルシューティングの手順 0)。また、ごく一部の車両は OBD-II の通信自体は成立しても、走行データの取得(Mode 01)に対応していないことがあります。この場合はプロトコルを変えても解決しません。接続ログをお送りいただければ、どちらのケースかを確認できます。

OBD NINJA をダウンロード

iOS / Android で無料でお試しいただけます。