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燃料コスト(Fuel Metrics)

燃料の消費量・コスト・燃費をリアルタイムで計算・表示するウィジェットです。車両の OBD2 対応状況に応じて、PID 0x5E → MAF → Speed-Density 推定の 3 段階で自動的に最適なソースを選択します。本ページでは各計算方式の違い、Speed-Density モードのチューニング方法、設定項目の意味までまとめます。

公開 · 2026年4月15日·最終更新 · 2026年4月15日

1.概要

燃料コストウィジェットは「瞬間燃費・累積消費量・累積コスト・平均燃費」をひとつのスロットに集約して表示します。コア計算は燃料流量(L/h)の取得で、これが正確であれば他の値もすべて正確になります。

車両側で利用できるデータが車種・年式によって異なるため、3 段階のフォールバックを用意しています。新しい車両ほど精度の高いソースが使え、古い車両でも Speed-Density 法で近似値を得られる設計です。

2.表示内容

スロットに表示される項目は以下のとおりです。スロットサイズによって表示される項目数が変わります。

項目単位内容
瞬間燃費km/L · MPG · L/100km車速 / 燃料流量
燃料流量L/hリアルタイム消費速度
累積消費量Lセッション中の積算値
累積コスト¥ など消費量 × 単価
平均燃費km/L走行距離 / 累積燃料
計算ソースPID 0x5E / MAF / Speed-Density / 未接続

3.燃料流量の計算方式(3 段階の自動フォールバック)

車両が対応している OBD2 PID に応じて、以下の優先順位で自動選択されます。

① PID 0x5E — Engine Fuel Rate(最も正確)

ECU が内部で計算済みの燃料流量を直接取得します。燃料噴射量から直接算出されているため最も正確で、ユーザー側でのチューニングは一切不要です。

対応車両:比較的新しい車両(2010 年代以降の一部車種)

② MAF(Mass Air Flow)センサーから推定

PID 0x10 で取得した空気質量流量から、理論空燃比を仮定して燃料質量を逆算します。低負荷域では十分実用的な精度が出ます。

fuelRate (L/h) = MAF (g/s) × 3.6 ÷ AFR (14.7) ÷ 燃料密度 (0.75 kg/L)
定数意味
3.6g/s → kg/h の単位換算
AFR14.7理論空燃比(ストイキ・ガソリン)
燃料密度0.75 kg/Lガソリン密度

対応車両:MAF センサーを持つ車両全般

③ Speed-Density 推定(MAF 非対応車両向け)

MAP センサー、RPM、吸気温、排気量、VE(体積効率)から空気質量流量そのものを推定し、そこから燃料流量を求めます。3 つの計算方式の中ではユーザー側のチューニングが必要になるモードです。

空気密度 ρ = MAP / (287.05 × (IAT + 273.15))
体積流量 V = 排気量 × RPM / (2 × 60)     // 4 ストローク
MAF 推定 = ρ × V × VE
燃料流量 = MAF / AFR ÷ 密度 × 3600

VE の動的補正:負荷率(MAP / 大気圧で算出)に応じて、ベース VE × (1 + 0.13 × 負荷率) で補正します。アイドル負圧で負荷 0%、NA WOT で 100%、ブースト時は最大 120% でクランプ。

ブースト時の AFR 濃縮:AFR = 14.7 / (1 + 濃縮率 × min(boost/40, 1))。ブースト量に応じてリッチ側に補正し、ターボ車の高負荷時の燃料増量を近似します。

4.減速時燃料カット判定

Speed-Density モードでは、エンジンブレーキ時の燃料カットを近似します。以下のすべての条件を満たすと、燃料流量がアイドル比率(デフォルト 0.5)倍に抑制されます。

  • 燃料カット機能が有効(fuelCutEnabled = true)
  • 車速 > 5 km/h
  • MAP < 30 kPa(高真空)
  • RPM > 1500(高回転)

5.詳細設定

設定項目は「グローバル設定」(車両に紐付き、全スロットで共有)と「スロット別設定」(表示のカスタマイズ)に分かれています。

グローバル設定(車両パラメータ)

項目範囲説明
計算モード読み取り専用現在の自動選択ソースを表示(PID 0x5E / MAF / Speed-Density / 未接続)
エンジン排気量1000〜20000 ccSpeed-Density 計算用の排気量
体積効率(VE)0.50〜1.50Speed-Density 法のベース VE。実給油量と比較して調整
ブースト濃縮0〜30%ターボ車のブースト時パワー濃縮率。NA は 0%、ターボは 10〜20% が目安
減速時燃料カットON / OFFエンジンブレーキ中(高真空 + 高回転 + 走行中)の燃料消費をゼロとみなす

VE / ブースト濃縮 / 燃料カットの 3 項目は、Speed-Density モード時のみ表示されます(PID 0x5E や MAF が使える車両では計算上不要なため)。

スロット別設定(表示カスタマイズ)

項目説明
価格単位L / gal(米国ガロン)切替
燃料単価例:¥ 170.0 /L
燃料コスト表示コスト欄の ON/OFF(tall / wide 以外で有効)
コストアラート指定金額ごとに通知(例:100 円ごと)
表示単位km/L / MPG / L/100km

設計方針:物理的に車両に紐付く値(排気量・VE・濃縮率)はグローバル、ユーザーの好み(価格・通貨・アラート)はスロット別。

6.更新頻度とセッション管理

項目
計算周期500 ms(毎秒 2 回)
累積ロジックdt秒 × 流量 (L/h) / 3600 = 増加燃料 L
異常値フィルター時間 gap が 5 秒を超えるサンプルは無視
自動リセットされるタイミングBLE 接続時 / 録画開始時 / スロット設定をクリアした時

7.Tips

精度を上げるには

  • 詳細設定の「計算モード」で、現在どのソースが使われているかをまず確認
  • PID 0x5E が使えるなら何も触らなくて OK(ECU の値なので調整不要)
  • MAF モードも通常は調整不要(理論空燃比で計算しているため、ストイキ域では十分正確)
  • Speed-Density モードのみ VE の調整が必須。実給油量と累積消費量を比較し、累積が大きすぎれば VE を下げる、小さすぎれば VE を上げる

ターボ車のセットアップ例

  • VE:0.85
  • ブースト濃縮:15%
  • 燃料カット:ON

NA 車のセットアップ例

  • VE:0.80(一般的な値)
  • ブースト濃縮:0%
  • 燃料カット:ON

価格単位とコストアラート

  • gal モードは米国市場向け。表示単位を MPG にするとセットで使いやすい
  • アラート間隔で「100 円 / 500 円 / 1000 円ごとに通知」といった設定が可能

8.よくある質問

どのモードで動いているか確認したい

詳細設定の「計算モード」欄に現在のソースが表示されます(PID 0x5E / MAF / Speed-Density / 未接続)。

累積消費量が実際の給油量と合わない

Speed-Density モードの場合は VE を調整してください。累積値が多すぎれば VE を下げ、少なすぎれば VE を上げます。MAF モードでもズレる場合は、センサー自体の劣化やエアフィルターの詰まりが原因のこともあります。

信号待ちで消費量が増え続けるのは正常?

正常です。アイドリング中も燃料は消費されています。減速時燃料カットはエンジンブレーキ時のみ働き、アイドリング時の消費には適用されません。

ディーゼル車でも使える?

現状はガソリン想定(AFR 14.7、密度 0.75 kg/L)です。ディーゼルは AFR と密度が異なるため、現時点では計算が合いません。

累積値をクリアしたい

現状、手動でクリアする専用ボタンはありません。累積消費量・コスト・平均燃費は、以下のタイミングで自動的に初期化されます:(1) OBD アダプターと BLE 接続したとき、(2) 録画を開始したとき、(3) スロット設定をクリアしたとき。

再生時に平均燃費が表示されない

再生用のスナップショットには「その瞬間の流量」のみ保存されており、累積値(トリップ燃料・平均燃費)は含まれていません。走行中のライブ表示でのみ確認できます。

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