Virtual Dyno(走行記録の出力カーブ)
保存した走行記録から、その走行の「回転数ごとの馬力・トルク」をシャーシダイナモ風のグラフで描きます。車の最大性能ではなく「この走行で使った出力の特性」が見えるのが特徴です。無料で使えます。
1.概要
Virtual Dyno は、走行記録に残っている燃料流量と回転数から、回転数ごとの出力(馬力)とトルクを計算してグラフにします。OBD2 アダプターで記録した走行なら、特別な操作なしで後から見られます。
シャーシダイナモは、車を台の上で全開にして「その車が出せる最大の出力」を測ります。Virtual Dyno が描くのは、普段の運転で実際に使った出力です。同じ車でも、走り方によってグラフの形が変わります。
| シャーシダイナモ | Virtual Dyno | |
|---|---|---|
| 分かること | その車が出せる最大の出力 | その走行で使った出力の特性 |
| 測り方 | 台上で全開にして計測 | 普段の走行記録を後から解析 |
| 必要なもの | 計測設備 | OBD2 アダプターとスマホ |
| 値 | 実測 | 燃料流量からの推定(補正で精度を上げられます) |
2.開き方
走行記録の詳細画面で、地図ブロックの左上にある Route ⇄ Dyno の「Dyno」をタップします。初めて開いたときに走行データ全体を解析するので、長い記録では数秒かかります。
デスクトップ版でも、走行記録の詳細画面で同じように切り替えられます(§7)。
3.グラフの読み方
白い線が出力(左軸、PS など)、緑の線がトルク(右軸、kgf・m など)です。それぞれのピークに、値と発生回転数が注記されます。単位は推定出力スロットの単位設定に従います。
グラフは、走行データ全体を回転数ごとに見て、その回転数で出ていた一番高い値をつないだもの(上側の包絡線)です。全開加速の区間だけを拾うのではなく、普段の加速もすべて材料になります。
横軸はその走行で到達した回転数の範囲だけを表示します。回っていない回転域は描きません。
例: 高速道路メインの走行では、トルクが低めに出る
軽バン(カタログ値 64PS / 9.7kgf・m)で高速道路を中心に走った記録では、出力のピークは 64ps @ 6600rpm とカタログ値どおりでしたが、トルクのピークは 7.3kgf・m @ 4000rpm でした。
高速道路の合流などで一気にアクセルを踏み込むと、回転はすぐに上の方へ行きます。そのため「高回転・高負荷」のデータは多く、「低回転で踏み込んだ」データはほとんど残りません。低回転で太いトルクが出るエンジンでも、その域を使っていなければグラフには出てこない、ということです。
- 低回転のトルクを見たいときは、低めのギアで 2000〜3000rpm あたりから踏み込む加速が入った走行を使ってください。
- 同じ道を同じように走った記録どうしを比べると、推定値のずれがほぼ相殺されるので、走り方の違いや、吸排気などを変えた前後の変化を比べやすくなります。
- 「普段どの回転域を使って走っているか」が分かるので、ギア選びや、どこにトルクを足すかを考える材料にもなります。
4.補正前と補正後を切り替える
v1.3.9 から、出力補正(§6)を適用した記録では、Dyno ブロックの左下に「補正前|補正後」の切り替えが表示されます。初期表示は補正後です。
切り替えると、グラフの線とピークの数値がアニメーションで移動します。縦軸は補正前と補正後の大きい方に合わせて固定しているので、補正でカーブがどれだけ動いたかを、そのまま見比べられます。
補正前の表示は、標準の係数で計算した値です(未補正のバッジが付きます)。表示を切り替えるだけで、補正のデータは変わりません。画面を開き直すと補正後に戻ります。
補正していない記録では、切り替えは表示されません。
5.画像で共有する
Virtual Dyno ブロックの右上にある共有ボタンをタップすると、SNS 向けの縦長画像(1080 × 1350 px、PNG)が作られ、共有シートから X・Instagram・LINE などに送ったり、写真に保存したりできます。無料で使えます(v1.3.7 以降)。
画像はアプリの外で単独で見られる前提で、グラフだけでなく「どの車の・どういう条件の数値か」も入れています。画像の文言は、国をまたいで見られるよう全言語共通で英語です。
補正前と補正後を切り替えられる記録では、いま表示している方の状態で画像が作られます。2 枚とも縦軸がそろうので、並べて投稿すると補正の効果がそのまま伝わります。
| 画像に入るもの | 内容 |
|---|---|
| 車両名 | 車両プロフィールの「メーカー・車種名・型式」。未入力の場合は「--」 |
| 排気量・燃料 | 記録したときの排気量と燃料種別(例: 660cc · Gasoline) |
| ピーク値 | 最大出力・最大トルクと、それが出た回転数(大きく表示) |
| 出力カーブ | Virtual Dyno のグラフ |
| 走行情報 | 記録日・走行時間・距離 |
| 補正状態 | 補正後なら「Calibrated ×0.84」のように係数を、補正前・未補正なら「Uncalibrated」バッジと「Standard coefficient」を表示 |
地名・ルート・走行記録の名前は画像に入りません(自宅の場所などが分からないようにするため)。車両名の入力(メーカー・車種名・型式・年式)は車両プロフィールの「出力補正用の車両情報」で行います。車両プロフィールの編集は Premium の機能のため、無料でお使いの場合は車両名が「--」になります。
6.出力補正(Premium)
Virtual Dyno の右下にある「この走行で補正する」をタップすると、その走行の加速データから係数を測り直します。走行中の操作は不要で、普段どおり記録した走行をあとから解析します。
解析には車重が必要です。車両プロフィールの「出力補正用の車両情報」に、車検証の車両重量・乗員・荷物・変速機の種類(MT / AT / CVT)を入力してください。
加速したときに車が実際にした仕事(車速の変化と車重から計算)と、そのとき消費した燃料を突き合わせて、標準の何倍かを求めます。結果は「×0.84 / ばらつき ±7% / 通常加速ベース・勾配確認済み」のような形で表示され、「適用」すると推定出力スロットと Virtual Dyno の両方に反映されます。
加速度センサーの記録があれば勾配を判定して坂道のデータを除外します(G メータースロットを置いていなくても、v1.3.4 以降の記録には自動で入ります)。それ以前の記録は「勾配未確認」として、より多くの加速データを必要とします。
精度を上げるコツ:平坦な道で、40 → 80km/h くらいの加速が数回入っている走行を使ってください。パーシャル(軽い加速)だけの走行では係数が低めに出ることがあります。
補正は車両プロフィールごとに保存されます。標準に戻すには推定出力スロットの詳細設定にある「補正をリセット」を使ってください。
Virtual Dyno と画像の共有は無料です。実走データによる出力補正のみ Premium の機能です。
7.デスクトップ版での表示
デスクトップ版でも、走行記録の詳細画面の Route ⇄ Dyno で Virtual Dyno を表示できます。モバイル版で補正した係数は、走行記録を送るときに一緒に引き継がれ、「補正済み」と表示されます。
デスクトップ版 v1.0.20 から、Virtual Dyno・推定出力・燃費の値と、走行記録の距離・平均速度がモバイル版と同じになりました。それ以前のバージョンでは、エアフローセンサー(MAF)の無い車などで値が数 % 高く出ることがありました。v1.0.20 に更新すると、保存済みの記録もそのまま正しい値で表示されます。
デスクトップ版では出力補正と、補正前⇄補正後の切り替えはできません(モバイル版の機能です)。
8.よくある質問
トルクがカタログ値より低く出ます
Virtual Dyno は「その走行で使った出力」を描くので、低回転で踏み込んでいない走行ではトルクのピークが低く出ます。§3 の例のように、高速道路で一気に踏み込む走り方では低回転域のデータがほとんど残りません。低いギアで 2000〜3000rpm から加速した走行で見てみてください。
カタログの馬力と違います
推定値は燃料の消費量から求めた値で、測り方がカタログ値とは違います。出力補正を行うと、多くの車でカタログ値に近い値になります。
無料で使えますか?
Virtual Dyno と画像の共有は無料です。実走データによる出力補正は Premium の機能です。
過去の走行記録でも見られますか?
見られます。v1.3.7 以降で記録した走行は記録したときの車両プロフィール(燃料種別・補正係数)で、v1.3.6 以前の記録はいま選んでいるプロフィールで計算されます。v1.3.4 より前の記録には加速度センサーのデータが無いため、出力補正では「勾配未確認」として扱われます。
共有画像の車両名が「--」になります
車両プロフィールの「出力補正用の車両情報」でメーカー・車種名・型式を入力してください(Premium)。v1.3.6 以前の記録や、記録したプロフィールを削除した記録では、違う車の名前が出ないよう「--」になります。
デスクトップ版とモバイル版で値が違います
デスクトップ版を v1.0.20 以降に更新してください。それ以前のバージョンでは、一部の車で燃料流量の計算式がモバイル版と違っていました。
OBD NINJA をダウンロード
iOS / Android で無料でお試しいただけます。